
リユース着物店で古着の査定を担当する琴子。「衣は人を包む。包んで守る。(中略)だから持ち主の見たものをそのっ身に染みこませ、包み、守ろうとする。」すなわち、来ていた人の記憶さえも着物に携え、それを夢の中で見る力を有する琴子は1枚の着物とその上に置かれていた戦時中の少女雑誌から、その着物の持ち主の青春時代のつらい過去をよみがえらせます。着物と少女文芸雑誌の歴史を遡りながら、現代の人々へどう生きるかのメッセージが語られています。
『琴子は着物の夢を見る』(ほしおさなえ著、ハルキ文庫、本体価格660円、税込価格726円)